児童養護施設の心理職の育成プログラムの開発
ー現職心理職の補完的教育を目的としてー
平成27~29年度科学研究費補助事業
研究目的
本研究では,1)児童養護施設の心理職に必要な専門性を同定,2)児童養護施設の心理職に対する補完的教育を目的とするプログラムの
計画・実施・評価,3)本プログラムの効果と規定因の特定,を期間内に完遂する。
それに加え,研究の各段階における3点の課題の検討を併せて遂行する。
課題1:児童養護施設の心理職の専門性に関する3者のニーズ(心理職,施設(心理職評定),心理学教員)を相互に比較・対照する
ことで,育成上の課題を明確かつ詳細に捉える。
課題2:児童養護施設の心理職に必要な専門性を複数の指標を用いて整理し布置することで,専門性の全体像とキャリア発達の
全体像を把握する。
課題3:効果の規定因の検討から,心理職の育成における個人差を説明する変数を同定する。
プロジェクトの流れ
平成27年度 全国調査に基づく育成プログラムの開発
・全国の児童養護施設の心理職と心理支援専門資格取得のためのカリキュラムをもつ大学院の心理学教員を対象に
質問紙調査を実施
・双方のデータを比較照合し,現職心理職と養成者の認識の違い,ニーズとの適合度合いなど,プログラム開発の
ための示唆を得る。
平成28年度 A県の児童養護施設の心理職を対象に育成プログラムの実施
・施設長ならびに本人の合意を得られた心理職のみを対象とし,途中離脱の保証等,研究倫理事項を遵守する。
・1回5時間程度、計5回程度のセッション
・児童養護施設の心理支援の理論的基盤となる専門知識の講義と,グループスーパービジョン、事例演習で構成し,
少人数グループ(5~7名)での実施とする。
・プライバシーへの配慮から,録画・録音は行わない。
平成29年度 プログラムの評価
・プログラムの効果を検討するために2種類の評価を実施する。アウトカム評価(プログラム終了直後の評価)を
毎セッション後に質問紙とインタビューで行う。
・3ヵ月後に,インパクト評価(プログラムの最終的な効果の評価)を質問紙で,心理職に依頼し,本プログラムの
効果の持続性を検証する。
研究成果の発表
・Webサイトを用いて全国の児童養護施設,児童福祉協議会等の関係団体へのフィードバック,学会,学術論文等
での発表を行う。
研究代表者 若本 純子
〒840-8502 佐賀市本庄町1 佐賀大学教育学部
E-mail:jwaka@cc.saga-u.ac.jp